【口語訳】 「どこの山が天に近いか。」 と帝(みかど)がおたずねになると、ある者が申し上げるに、 「駿河(するが)の国にあるという山が、この都にも近く、天にも近うございます。」と。 これをお聞きになって、(帝は次のような和歌を詠(よ)んだ) かぐや姫と二度と会うこともないので、涙に浮かんでいるような我が身にとって、死なない薬が何の役にたちましょうか、何の役にもたちません かぐや姫が差し上げた不死の薬に、お手紙と壺(つぼ)を添(そ)えて、御使いにお渡しなさる。 御使いに調石笠(つきのいはかさ)という人をお呼びになって、駿河の国にあるという、山の頂上に持って行くようお命じなさる。そして、山頂ですべきこと(不死の薬、手紙、壺を焼くこと)をお教えなさる。調石笠がことの次第をお引き受けして、兵士たちを多数引き連れて山に登ったことから、その山を「富士の山」と名付けたそうだ。 その煙は、今でも雲の中へ立ち昇(のぼ)っていると言い伝えられている。 |
竹取物語 答え・解説