松尾芭蕉は蕉風しょうふうという俳風を確立し, 多くの弟子を育てました。弟子の中でも代表的な者たちを蕉門十哲しょうもんじってつと呼びます。
【問 題】蕉門十哲が詠よんだ次の俳句の季語と季節、切れ字を答えましょう。
①此この木戸や 錠ぢゃうのさされて 冬の月 榎本其角(えのもときかく)
②梅むめ一輪 一輪ほどの あたたかさ 服部嵐雪(はっとりらんせつ)
③岩はなや ここにもひとり 月の客 向井去来(むかいきょらい)
④叱しかられて 次の間へ出る 寒さかな 各務支考(かがみしこう)
ヒント!
① 此この木戸や切れ字 錠ぢゃうのさされて 冬の月 季語 季節:冬 この城門には錠がしっかりかけられていて, 空には寒々とした冬の月が輝いている。
② 梅むめ一輪 一輪ほどの あたたかさ 季語 季節:春 切れ字なし *「むめ」とは「うめ」のことです。 梅のつぼみが一輪咲いた。その花を眺めると, 春のいぶきが感じられることだ。 *梅を「寒梅」として, 冬の俳句と考える解釈もあります。
③ 岩はなや切れ字 ここにもひとり 月の客 季語 季節:秋 月の美しさに誘われて歩いていると, この岩の先に同じように月を愛(め)でている風流な人がひとりいたことよ。
④ 叱しかられて 次の間へ出る 寒さ かな切れ字 季語 季節:冬 師(芭蕉)にしかられて, 人気のない次の間に出ると, 寒さがひときわ身にしみるなあ