■ 信号を伝えるしくみ
刺激から反応までの時間 1
感覚器官で刺激を受けとってから、反応が起きるまでの時間を次のような方法で測ってみます。

ポインタを画像の上に置いてみよう
不意に落とされた定規をどの位置でつかめるかを調べます。定規が落ちるのを目で確認してから、指で定規をつかむので、反応には意識がともなっています。
 
次の表は定規が落ちた距離と反応時間の関係を示しています。落ちた距離をYcm、つかんだ時間をt秒とすると、次の式が成り立ちます。

Y = 1/2 × 980 × t × t
5cm → 約0.101秒
10cm → 約0.143秒
15cm → 約0.175秒
20cm → 約0.202秒
25cm → 約0.226秒
30cm → 約0.247秒
この測定では次の経路で信号が伝わっていく時間が測られたことになります。
刺激
定規の落下
      反応
定規をつかむ

感覚神経   運動神経
 
次のページでは、ヒトの神経系について見てみよう。

国際的な陸上競技のルールでは、100m走などのスタートにおいて、ピストルの音から0.1秒以内に反応するとフライングになります。ヒトが耳でピストルの音を聞いてから、筋肉に命令が伝わり、反応が起こるには0.1秒以内では不可能というのがその理由です。これより早く反応した選手は、ピストルの音を聞く前に、当てずっぽうでスタートを開始したということになります。実際、2003年にフランスで行われた世界陸上で、当時の男子100mの世界記録保持者であったパウウェル選手が2度目のフライングにより失格になりました。パウウェル選手の、このレースの反応時間は0.086秒でした。