1 士(つはもの)どもあまた
具して、山へ登りける
(兵士たちを多数引き連れて山に登った)
→士がたくさん、つまり武「士に富む」山であるということから。
2 不死の薬(嶺にてすべきやう)
(不死の薬を山頂で焼いた
【口語訳】
「どこの山が天に近いか。」
と帝がおたずねになると、ある者が申し上げるに、
「駿河の国にあるという山が、この都にも近く、天にも近うございます。」と。
これをお聞きになって、(帝は次のような和歌を詠んだ)
かぐや姫と二度と会うこともないので、涙に浮かんでいるような我が身にとって、死なない薬が何の役にたちましょうか、何の役にもたちません
かぐや姫が差し上げた不死の薬に、お手紙と壺を添えて、御使いにお渡しなさる。
御使いに調石笠という人をお呼びになって、駿河の国にあるという、山の頂上に持って行くようお命じなさる。そして、山頂ですべきこと(不死の薬、手紙、壺を焼くこと)をお教えなさる。調石笠がことの次第をお引き受けして、兵士たちを多数引き連れて山に登ったことから、その山を「富士の山」と名付けたそうだ。
その煙は、今でも雲の中へ立ち昇っていると言い伝えられている。