竹取たけとり物語
 
竹取物語は、かぐや姫という名で親しまれ、我が国で一番古い物語としても知られています。物語の最後の場面には、富士山の名前の由来が書かれています。
 

次の文章の中から、「富士山」という名前の由来となる出来事を二つ探してみましょう。
 
「いづれの山か天に近き。」
と問はせたま ふに、ある人そうす、 「駿河するがの国にあるなる山なむ、この都も近く、天も近くはべる。」
と奏す。これを聞かせ給ひて、
 
  ふこともなみだに浮かぶわが身には 死なぬ薬もなににかはせむ
 
かのたてまつる不死の薬、御文、つぼ具して、御使にたまはす。御使には、調石笠つきのいはかさといふ人をして、駿河の国にあんなる山のいただきに持て着くべきよし、おほせ給ふ。みね にてすべきやう教へさせ給ふ。そのよしうけたまわりて、つはものどもあまた具して、山へ登りけるよりなむ、その山を「富士の山」とは名づけける。
 そのけぶり、いまだ雲の中へ立ちのぼくるとぞ、言ひ伝へたる。