美しい日本語の世界2
 
声に出して読んでみましょう
 

「背(せい)くらべ」   海野 厚  
 
柱のきずはおととしの
五月五日の 背くらべ
粽(ちまき)たべたべ 兄さんが
計つてくれた 背のたけ
きのふくらべりゃ 何(なん)のこと
やつと羽織(はおり)の紐(ひも)のたけ
 
柱にもたれりゃ すぐ見える
遠いお山も 背くらべ
雲の上まで 顔出して
てんでに背伸(せの)び してゐても
雪の帽子(ぼうし)を ぬいでさへ
一はやつぱり 富士の山