芭蕉の世界 2

 松尾芭蕉の書いた「おくの細道」は,日本の紀行文の代表的な作品の一つと言われています。 この作品は,元禄2年(1689年)旧暦の3月27日に江戸を出発してから,奥羽おうう・北陸の各地を経て,大垣に至り,さらに,9月6日に伊勢へと出発するまでの旅をもとにして書かれました。
 行程2,400キロメートル, 約半年にわたる旅で, 門人の曾良そらがお供をしました。
* 紀行文…旅行中の見聞・感想などを書きつづった文。

【問 題】次の俳句は, 芭蕉が「おくの細道」でんだものです。それぞれの俳句の季語と季節を答えましょう。

 

①  行く春や 鳥うおの 目はなみだ
 過ぎてゆく春を惜しんで, 鳥は鳴き, 魚の目にも涙が浮かんでいるよ。 

  

②  しづかさや 岩にしみ入る せみの声
 山寺の静けさの中で, 蝉の声が岩にしみ入るように響いていることよ。 

  

③  さみだれを あつめて早し 最上川もがみがは
 庄内しょうない平野に降り注いだ五月雨さみだれをすべて集めて, 最上川は激しく速く 流れていくことよ。

  

④  荒海や 佐渡さどによこたふ あまかは
 目の前には激しく波が立つ日本海が広がり, その向こうには佐渡島さどがしまが見える。ふと見上げると,天の川が佐渡の方へ横たわっている。