枕草子まくらのそうし

 「枕草子」は,平安時代の代表的な随筆ずいひつです。筆者の清少納言は, 宮中での見聞などを,みずみずしい感覚でとらえ,簡潔な文章で表現しました。

【問 題】 次の文章は,「枕草子」第一段です。①~④には,それぞれ「春」「夏」「秋」「冬」のどれがあてはまるでしょう。(段落の順序は入れかえてあります。)    

 

【①】は夕暮れ。夕日のさして山のいと近うなりたるに,からすの寝どころへ行くとて,三つ四つ,二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり。まいてかりなどの連ねたるが,いと小さく見ゆるは,いとをかし。日入り果てて,風の音,虫の音など,はた言ふべきにあらず。


【②】は夜。月のころはさらなり,やみもなほ,ほたるの多く飛びちがひたる。また,ただ一つ二つなど,ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。


【③】はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは,少しあかりて,むらさきだちたる雲の細くたなびきたる。


【④】はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず,しものいと白きも,またさらでもいと寒きに,火など急ぎおこして,炭もて渡るも,いとつきづきし。昼になりて,ぬるくゆるびもていけば,火桶ひをけの火も,白き灰がちになりてわろし。