あすなろ学習室国語の部屋表現の部屋(中学校)>短歌の世界

短歌の世界 2 ヒント 

 枕詞とは,ある特定の語句の前に置いて,その語句を修飾したり,歌の調子を整えたりする語句のことです。


白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ     
                         若山 牧水

 白鳥に「かなしくはないのか」と問いかける形になっていますが,そこには,作者自身の深い悲しみにも重ねられているのかもしれません。。空や海の青さと,鳥の白さ,その鮮(あざ)やかな対比が目に浮かぶようですね。

木に花咲き君とわが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな
                         前田夕暮

 4月になれば,木々に花が咲き,いとしい人は私の妻になる。その日を心待ちにする青年の思いを歌った一首です。

のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳ねの母は死にたまふなり    
                         斎藤茂吉

 母の臨終のせつな,ふと上を見ると,のどの赤いツバメ(玄鳥)が2羽,はりに止まっているのが目に飛び込んできた,そんな情景をよんだ句です。「屋梁」は「屋根の重みを支えるために,柱の上に渡す横木」のことです。「ゐて」は「止まっていて」という意味です。

たのしみはまれに魚煮て児等皆がうましうましといひて食う時   
                         橘 曙覧

 貧しい生活の中では,魚はたまのごちそうです。その魚を,子どもたちがうまいうまいと食べる姿こそが,父としての何よりの楽しみだという意味の歌です。