① メロスはざんぶと流れに飛び込み,百匹の(大蛇)のようにのたうち荒れ狂う波を相手に,必死の闘争を開始した。
太宰治「走れメロス」より
② しろ毛の(うさぎ)のようにおどおどとうずくまり宝石のようにきらめく眼をみはって
わたしはかぎりなく大空のとびらをたたく。
大手択次「母韻の秋」より
③ わたくしは毎日を(鳥)のように教室でうたってくらした
宮沢賢治「生徒諸君に寄せる」より
④ 人家は地面にへたばっておおきな(蜘蛛)のように眠っている。
萩原朔太郎(はいぎわらさくたろう)「遺伝」より
⑤ 月のいとあかき夜,川を渡れば,牛の歩むままに,(水晶)などの割れたるやうに,水の散りたるこそ,をかしけれ。
清少納言「枕草子」より
【現代語訳】
月のとても明るい夜,牛車で川を渡ると,牛が歩くのにつれて,水晶などが割れているように,水が散っているのは,すばらしい。
*一部の作品の表記を現代仮名遣いに改めてあります。
それぞれの比喩によって,作者が伝えようとしているのは,どんなイメージでしょう。もう一度読み返して,想像してみましょう。