〜心配される富士山の蝶〜をめぐって
蝶を保護することは富士山の自然を守ること。
現在日本で見られる蝶の5分の一は絶滅の恐れがあると言われています。 このような絶滅を心配される蝶は次の3つに分類され、※G絶滅危惧T類・絶滅危惧U類・准絶滅危惧に分けられます。富士山周辺は「静岡県の蝶の宝庫」であり、ここには別表(絶滅蝶)のように16種の絶滅危惧種が生息しています。 こんなに多くの蝶が存続を心配されていることと、それらが16種類も富士山に住んでいるとは驚きですね。
蝶を絶滅から守るためには、環境を維持してやることや農薬などの使用を控えることが大切です。温暖化などによる気候変動、工場や商業施設の誘致などによる山林や草原の消失、化学物質や排気ガスなどによる環境汚染・水質汚染など
蝶にとって住みにくい状況を作り出さないようにしなければなりません。個人レベルでは、採集をしないことも重要ですね。さらに進めれば蝶にとって住みやすい状況を作り出すことも推し進めたいですね。
今から五十年先いや百年先も富士山が「静岡県の蝶の宝庫」でありつづけられるように皆さんも協力してください。
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ヒョウモンチョウ
6月中ごろから年1回発生する初夏のヒョウモンチョウですが、他の大型ヒョウモンチョウに比べると飛び方は幾分緩やかです。 |
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クロシジミ 富士宮の一部の地域に分布しているこの蝶は、幼虫時代をありの巣で過ごし、エサを口移しでアリからもらうという特異な生態の蝶です。名前のように雌は翅表が黒く丸みを帯びていますが、雄は少し小型で翅がとがり青みがかった色をしています。昔は県西部にもいましたが、今では確実に見られるのは富士山麓だけです。大切にしたい蝶です。 |
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ゴマシジミ シジミチョウとしては最も大きな部類の蝶で、その生活史も幼虫時代をアリの巣で過ごす変わった蝶です。巣の中でアリの卵や幼虫を食べて育ちますが、アリは特に怒ることはありません。むしろ幼虫が出す甘い汁を吸うためにいいなりになっているようです。最近極端に数が少なくなってきている蝶の一つです。一定の広さの常に手入れされた草原が必要であることとシワクシケアリというアリの存在が欠かせないことがその理由のようです。 | |||||
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チャマダラセセリ
イギリスにもよく似た蝶がいてcheckered spotという名がついています。ミツバツチグリやキジムシロというマメ科の植物につきます。春型は小型ですが色合いがとても美しいものです。北海道で1970年ごろ、この種と近縁のヒメチャマダラセセリが発見されました。 | |||||
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ヒメシロチョウ
蝶はか弱い生き物の代名詞だと思いますが、その中でもか弱さの点では抜きん出た存在です。モンシロチョウよりもずっと小さいシロチョウで飛び方も弱弱しい蝶です。ヒメというのはより小さいという接頭辞として和名に使われますが、2回ぐらい付けたいほどのシロチョウです。食草は、クサフジです。この蝶も絶滅危惧種となり、富士山麓でも出会う回数は随分減りました。日本で最も小さな蝶の一つです。 | |||||
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ヒメシジミ
食草の数では他の蝶に負けないシジミチョウで十数種類の植物につきます。富士山麓には比較的たくさんいる蝶であすが、環境破壊の影響を受けやすいのか道路が通って排ガスが増えるととたんにいなくなってしまう蝶です。翅表の色は、雄は青く雌は茶褐色です(写真参照)。 | |||||
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ヤマキチョウ
よく似た種類でスジボソヤマキチョウがいますが、ヤマキチョウのほうが前翅の尖りがやや弱く厚ぼったいことで区別できます。前者の英名はBrimstoneといい、後者に似たものはCleopatraという優雅な名が付いています。しかしその生息状況は決して優雅なものとは言えず絶滅危惧種に上げられています。ふわふわとゆっくり飛ぶので採集者の餌食にもなりやすく、本栖高原でも数が減ってきました。クロツバラを食草としており、環境は十分整っていますが、保護対策を考える時期なのかもしれません。 |